コンピュータを生かしたい
翻訳業界人向けジャーナル

16-5-261号(第261版)

今月から『The Translator’s Tool Box, A Computer Primer for Translators』から有益な内容を抜粋してニュースレターに加えることになりました。タイトルに「(CPT)」と表示しておきましたので、参考にしてください。

1. あなたはどこにいるのか?

ここ何年もの間、私は数多くのツールのレポートを書いてきました。なぜならツールの開発者が接触してきたり、どこか別の場所で出合ったりしたからです。しかし、翻訳環境ツールやWindows、一般的な開発支援ツールを含む、私が話し続けるツールとは違って、多くは二度と言及されません。だから疑問を抱きます。最初にツールをレポートした後で、何らかの価値のある進展を私が見落としているのでしょうか、または本当に何も起こって無いのでしょうか?もしくはツールや技術が実際に終焉を迎えたのでしょうか?

最近の数週間、彼ら自身が私たちに提示している可能性について書いてきました。私たち自身の開発への参加の可能性も含めて — もし私たちが充分しっかり見るだけだとすればですが。以下のリストにある多くのツールと技術は、翻訳者によって開発されました。成功したものもあれば(どんな意味であれ)、しなかったものもあります(これまたどんな意味であれ)。そこでこれら全てを、安全地帯から一歩踏み出す事が理にかなっているかどうかのケーススタディとする事ができました。
これがツールのリストです。最初に一番最近ニュースになったものから始め、最もショッキングな終焉を迎えたもので締めようと思います。その間のものはランダムにリストしています。

TM-Town

私はTM-Townについて、2015年2月に簡単に書きました。それ以来、このツールはかなり進化していますが、基本的な前提は同じです。翻訳者は以前に翻訳した文章をアップロードし、TM-Townのエンジンが文章を分析して、将来の顧客がアップロードした文章とマッチングします。これで顧客は、顧客が翻訳を必要としている分野で確かな経験を持つ翻訳者を雇う事ができるのです。(この翻訳者の発見プロセスはTM-Townの用語で「仲人」と呼ばれています。)
この件を最後に書いたので、彼らは用語集のマーケットプレースを追加しました。これは用語ベース(もともとはSanTransによるものです — 以下を参照してください)とSDL Trados StudioやCafetranのプラグインを提供して、TM-Townに保存した用語ベースや翻訳メモリを使用できるようにします。
では、何が新しいのでしょう?TM-Town(多分、殆どの人はどこかでお聞きおよびでしょう)はProZに買収されました。
私はTM-TownのCEOのKevin Diazに、こんな質問をしてみました。「ProZとTM-Townは別々の企業として存続すると理解していますが、企業買収でProZはTM-Townが持つ技術を彼ら自身のために利用できますよね、そうでしょう?では実際にどんな計画をしていますか?」
彼の答えは:

  • 逆の場合もありますよ。例えば、TM-Townには私たちは既にKudoZポイント、Willingness to Work Again (WWA) レビュー、Certified PROバッジのようなアイテムを加えて、将来のエンド顧客またはエージェンシに見込みのある翻訳者の適正についての情報を提供しています。さらにProZは特許と実に興味深い技術を持っているので、TM-Townにも今後役に立つ事があると私は思っています。
  • 私はProZとTM-Townは多くの点でとても似通っていると思います。大きな差別化要因は、名簿を使っての古いアプローチに対する、私たちの翻訳者発掘の新しいアプローチ(仲人)です。私たちは2つの現場を統合して前進させる別の方法を探求し続けて行きます。例えば将来的に、ProZの名簿を閲覧する人に仲人での検索の機会を与えるといった事です。他にも多くの統合の可能性があると思います。
  • TM-TownでのCATツールの拡張については、まさに使用されていて関心を引いています。CafeTranの拡張は65人の活動的なユーザーを獲得しています。2、3週間前にSDL Trados Studio 2015のプラグインをリリースしたところで、まだ新品のようなものです。今のところ23ダウンロードに達しています:http://appstore.sdl.com/app/tm-town/540/

私はまた彼がこの状況を「サクセス・ストーリ」と考えているかどうか質問しました。

  • はい、私はこれをサクセス・ストーリと思っていますし、ProZへの加入については本当に興奮しています。(TM-TownとProZの)場所は離れていますが、TM-Townは自分たちだけでいるよりも成長をずっと早めるだろうと思っています。私たちは買収の発表以来、1,500人以上の翻訳者を新たに確保しました。
SanTrans

Henk SandersonのSanTransについては、2014年10月にレポートしました。彼はTrados Studio、Déjà Vu、memoQやCafeTranのようなツール用に、IATE用語ベースを整備しパッケージ化しました。ノーブランドTMX交換フォーマットについても同様です。
彼のレポートです:

  • まあ、個人的には自分のパッケージを大して変更していません。IATEダウンロードの新しいバージョンを使っているのと(2015年2月)、Wordfast ClassicとWordfast Pro用に新しいフォーマットを追加した位です。
  • 私はまたFluency用の重要な手続きを準備していて、私のファイルはそのパッケージ内でも同様に作動することを証明しました。
  • 他の重要な展開として、Kevin DiasのサイトTM-Townを介して直接購入やダウンロードの可能性があります。これで私のパッケージを以前より安く提供する事ができるようになります。

このビジネスを成功させるアイディとして、Henkは彼のウェブサイトから用語ベースを400セット以上、TM-Townで用語集を195セット販売しました。

Fluid

2014年6月に、私はFluidについてレポートしました。これはポルトガル製のツールで、ユーザーの翻訳内のサブセグメントやフレーズを置き換える事ができます。私はそのアプリケーションについては少し懐疑的でした(しかし開発者のJoão Albuquerqueのこのツールへの情熱には感銘を受けました)。
そのサイトはダウンしているので、私はJoãoに何があったのか尋ねました。彼は答えは次のようなものでした:

  • 私は実際、上級リファクタリング・モードにいますが、その事については話しません。お話する際には、冗談のように見せかけるでしょうが、実は違います.-))

それでいいでしょう。

Fair Trade

FairTradeTranslation2015年11月に結構大きく取り上げました。それにはちゃんとした理由がありました。何より、最初の商用統計ベース機械翻訳製品LanguageWeaverの創業者でCEOのDaniel Marcuを含む、翻訳業界では良く知られた2人のパイオニアによるプロジェクトだったからです。もうひとつの理由は、それは機械翻訳を見る実に独創的な方法で、翻訳者に自分たちが格闘しているものを評価する方法を与えていたからです。
状況がどうなっているのかという私の質問に対して、Danielが書いた返答は:

  • 過去12ヶ月に渡って、Gert [van Assche]と私はFairTradeTranslation会員数の拡充にはげみ、同僚のプロの翻訳家から学び続けました。私たちは1,000人に近いメンバーで、ここ2、3週間は製品への重要な更新リリースからも離れています。私たちの顧客はますます、成功するプロの翻訳者は翻訳するよりもより多くの事をする必要があると言う事を分かってきています。FairTradeTranslationはこのニーズに対処するために進化し、その一方でユーザーが製品と情報をやり取りする方法を単純化しています。翻訳の仕事のために手に入れられる最高のMTを提供する事に加えて、次のリリースでは翻訳の仕事の難しさ、仕事をするために必要な専門領域の知識、仕事を完了するために必要な時間と努力、その他の幾つかの特性を理解するサポートを提供します。私たちはまだ提供するサービスのためにメンバーを変更したりしていませんし、近い将来メンバーに費用を課す予定もありません。

ええ、分かってます、少しばかり重いマーケティング・スピーチです。しかし彼の返答には興味深い点が2つあります。最初どのように発表したか(私が描写したように)とは対照的に、完全に無料のサービスで、新しいアイディアの具体化がすごそこまで来ているのです。私は実際にそのプレビューを見る機会がありましたが、しばらく待って後ほどそれについてもっと長い紹介を書くつもりです。
RM-Source
2015年8月に、私はTM(もしくは他のファイルフォーマット)ベースのオーサリング・システムRM-Sourceについて書きました。私はこの製品のようなツールへの挑戦が、(ツールの第一世代が本質的に衰えきった後に)他にも起こるだろうと言う、現実的な希望を表明しています。そして今のところ大きなブレークスルーは現実に起こっていないが、少なくとも少しずつ進化していると言って良いと思います。開発の長Miguel Rúa-Figueroaはこう書いています:

  • 以前お話した時から、私たちはRM-Sourceにかなり多くの重要な改良を行いました。その殆どはテストとエンジンの変更で、性能を上げて少ないリソースで早く作動するようになりました。ツールの外観とエンドユーザー機能は殆ど同じですけれども。
  • 驚いた事に、RM-Sourceの宣伝も販売促進も行っていないにも関わらず、製品への関心は衰えていません。実際、先週もプレゼンテーションを頼まれました(…)業界最大手のMLVのひとつからです。
  • 今私たちはより多くのリソースをRM-Sourceに戻して、要するにやり残していたヘルプと文書ファイルを作成しています。たった今は、仮リリース日をお教えする事はできませんが、2、3週うちにはリリースできるだろうと期待しています。

4Visions
クラウドベースの送り状プログラム4VisionsTool Boxジャーナルの2013年10月号で書いてから2年半たちましたが、それから少しだけ進展して、しかし明らかにそれが今まさに変化しようとしています。
Ricard Sierraが私に語った事には:

  • あれから2、3の出来事が起こりました。私たちは基本的に製品の再設計、単純化に多くの労力を割いてきました。そして1年前に、別々にも一緒にも使える2つのソリューションに分割する事を決めました。InvoicesとManager
  • Invoicesは翻訳業界用の送り状のソリューションです。随分苦労して、簡単に使えて頑丈なものが出来ました。これは見積り、送り状、支出を記録し追跡するのに実に役立ちます。フリーランスと中小規模のLSPには理想的なソリューションです。
  • Managerは中小規模のLSP用のプロジェクト管理ソリューションで、今月(5月)にリリース予定です。私たちは最後の仕上げを行っているところで、ランディングページを間もなく用意します。Invoicesと同じコンセプトで、シンプルで頑丈なソリューションを設計してプロジェクトを追跡し、仕事を作成してリソースを割り振ります。

Managerがどんなものか、見るのを楽しみにしていてください。

Textomate

この3月にはTextomateについてのレポートを出しましたが、これは明らかにシンプルで、クラウドベースの真面目な語数カウントツールです。Alexander Dikはこの進展について言うべき事が2、3ありました:

  • 昨年、私たちはTextomateサービスの品質を改善しました(バグを直し計数品質を改善しました)が、新しい機能は追加しませんでした。
  • その一方で、翻訳エージェンシの接触を受けました。彼らはTextomateサービスを社内の翻訳ライフサイクルに統合したいと思っていました。だから私たちはスタンドアローンのエンタープライズ語数カウント・サーバー版Textomateを開発したのです。これは語数カウント機能が必要な、既存の顧客ワークフローとアプリケーションへの統合を意図しています。
Wazzo

もうひとつ、私がレポートしたシンプルなツールはWazzoで、以下のように描写されるツールです:「なんという天才なのでしょう!ze TMXファイルをここに落とします。それを格好いい、読みやすい、印刷できるHTMLの表に変換します。」私がこのレポートを書いたのは2014年5月号で私がEric Cadieux-Seneyから聞いた事は:

  • 興味深いタイミングです。Wazzo.caはしばらくの間オフラインでした。私は他のプロジェクトに注力していて、この領域の更新を忘れていたからです。先週、私はオンラインに戻す事に決めましたが、そして今その事についてあなたからメールをいただいています。
  • 私たちは最後にプログラムを書いてから変換部を少し改良しました。その殆どは、出来るだけ多くの例外に対処する試みでした。市場には多くの非標準のTMXフォーマットが流通している事が分かりました。
MultiQA

MultiQAは品質確保と専門用語のツールで、私は2013年6月に高く評価しました。このツールは前途多難ながら、なお最終的には今よりも良い環境に導いてくれる可能性があります。
簡単に言うと、このツールは開発したロシアの企業ITI社内での使用を除いて、幅広く使われてはいません。控えめに言って、何故なのか私にはよく分かりません。物凄く使いやすいツールと言う訳ではありませんが、事実上競合の無い領域、特に形態論ベースの専門用語認識において優れたものです。
とにかく、結論としてはそれはもはや一般大衆には手に入らないと言う事です。残念です。しかしContentQuo、Kirill Solovievが率いる新興企業がそれを引き継ぎました。Kirillのビジョンは、主要な性能指標と同様にウェブ分析によるユーザー応答を考慮する代わりに、個々の言語上のパラメータを見るだけでなく、より全体的なある種の品質確保を提供する事です。もう少し詳しく、良くまとめられたブログかこのプレゼンテーションで読む事ができます。

Sovee

Soveeは非常に多くの明るい見込み、実は私がシェアしたこの2014年9月の記事よりずっと多くの見込みとともに現れました。その幾つかはあまりにも素晴らしくて、それを公に明言するのは気恥ずかしかった位です。
それはごく少量のトレーニング材料から学ぶ機械翻訳エンジンだと想定されたので、リソースの少ない言語に使用できるでしょう。彼らは過度に彼らの独創的な思考(時々本当に素晴らしいアイディアです)に影響を与えないように、業界内からの人材を雇わないように努めています。しかし思ったほどうまく行かず、2015年には資金が底をつき組織が崩壊しました。Soveeだけでなく親会社も倒産したのです。以前に話したことのある関係者の何人かに連絡を取ろうとしましたが、私とはもう話をしたくないとの事でした。今思えば、私は最初に彼らにあまりに多くを話した事を後悔しています。人は学びながら生きて行くのですね…

2. バーチャル・デスクトップで作業をする(CPT)

バーチャル・デスクトップはAppleやLinuxコンピュータのユーザーには非常にお馴染みのコンセプトですが、殆どのWindows 10以前のWindowsユーザーには知られていません。本来、それは現状のデスクトップをこれ以上乱雑にせずに、様々な領域に仕事を体系化する方法でした。

図1:3つのオープン・デスクトップを伴うタスクビュー

上の例では、幾つかのオーサリングツールをひとつのデスクトップに、音楽プレーヤ(音はどのデスクトップからでも、たとえアクティブで無くても伝達されます)と電子メール(これでしょっちゅう邪魔をされずに済みます)をもうひとつのデスクトップに、そして3つ目のデスクトップには私が目下仕事を思案している翻訳環境ツールでのオープンプロジェクトを設定しています。
もし私がどれかのデスクトップをそのアプリケーションを終了せずに閉じた場合、アプリは自動的にデスクトップ1に移動します。
新しいデスクトップを作成する場合は、タスクビューのリンクをクリックするか、􀃡+CTRL+Dを押します。デスクトップを閉じるには、もう一度タスクビューを使うか、または􀃡+CTRL+F4を押して現在アクティブなデスクトップを閉じます。

3. Tool Boxジャーナル終わりの一言

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