コンピュータを生かしたい
翻訳業界人向けジャーナル

15-11-256号 ??(第256版)

?日本語版は英語版から一部の記事を翻訳しています。
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1.年の終わりに

本年は実りある年でした。本来、年齢を重ねるとともに、時間が早くすぎていくように感じますが、なぜか今年は本当に長く感じ、新しい年になる時期になったことをうれしく思います。既にハヌカーやクリスマスの休日を過ごしていたり、様々な休息と内省の時間を過ごそうとしているとは思いますが、12月ほどゆっくり休める休暇の季節はないでしょう。

今年は様々な理由から良い年となりました。

このTool Boxジャーナルに関して、まず、思いつくことは、今号より、1-StopAsiaと連携して、日本語版も同時発行できることになったことです。 ご興味がおありでしたら、こちらでサインアップが可能です。(韓国語および中国語版は今後製作予定です)。1 StopAsiaのDon Shin氏と私は、長年どのように私達が連携できるかということを話し合ってきましたが、ついに実現する方法を見出しました。興奮の気持ちでいっぱいです。

また、数ヶ月前に開始された技術の解釈に関するInterpretAmericaの定期コラムにも感謝しています。

そして最後に、繰り返しになるかもしれませんが、過去1、2年、特にこの1年の翻訳技術の発展について本当に喜ばしく思っています。これまでより多くの有用なデータへアクセスできるようになりました。このアクセスの増加というのは、特に荒い機械翻訳をツールとして採り入れるための言語的に理にかなった方法における大きな躍進を意味するものです。(うーん、記述的なMT(機械翻訳)、恐らく、MTの断片へアクセスする過程と呼ぶべきものかもしれないですね。どう思われますか。)

とにかく、素敵な休暇を!

2. crossPollination

以前のニュースレターで、Acrossと、翻訳者コミュニティへの喚起についてお話しました。翻訳者がAcrossを使用していないということではなく、選択して使用する技術というよりも、クライアント要件を満たすためのツールとしてよく使用されているということです。これは、フリーランサー用のAcrossがずっと無料であったという事実にもかかわらずです。そこで、彼らは有料にしてみて、どうなるかを見よう、と考えました。

おかしいと思われますか。 少しおかしいかも知れないですが、彼らにとってはうまくいくかも知れません。

以下はこれまでのすべての経緯です。 何年も前に、Acrossは彼らの技術を使用するユーザーで構成される諮問委員会を形成しました。自然と、Acrossの真のビジネスの核を占める翻訳購入者(「企業証文委員会」)から始めました。その後、彼らはLSPの諮問委員会(2013)を開始し、昨年(2014)翻訳者の諮問委員会を設立しました。これらの委員会は、年に2回会合を開き、AcrossのChristian Weih氏によると、少なくとも翻訳者の委員会の場合はソフトウェアに、より批判的なユーザーも含まれています。

リリースされたばかりのAcrossのバージョン(6.3)は、こういった翻訳者の声をいくらか反映した結果であり、さらに予想通り、多くは交換可能性のレベルに関係しています。Acrossは常に競合他社とは異なる戦略を持っていました。TMX、TBX、XLIFFといった交換標準をサポートすることや、翻訳者が独自のリソース(TMや用語ベース)をプロジェクトに関連付けることを可能にすることよりも、Acrossの開発者達は、クローズド?ループのエコノミーを信じていました。「我々は常にアップル社のアプローチを好んでいました」とChristianさんは述べました。 そして、企業のクライアントも同様でした。

下記に記載するのは、リソース共有に対応した新バージョンの新しい機能です(Acrossを使用したことがないなら、あまりに衝撃的だとは思わないかもしれませんが、経験の長いAcrossユーザーにとっては違うだろうと思います)。

  • 独自の翻訳メモリと用語ベースを、クライアントから受け取ったプロジェクトに連携させることができるようになりました(クライアントがその機能を無効化しない場合)。これらのリソースを読み出すことも書き込むこともでき、リソースをどれだけ活用したかについてはクライアントには表示されません。
  • いわゆるcrossConnectモジュールを通じて、プロジェクトを翻訳ファイル交換形式XLIFFとして出力できるようになりました。これで、他のツールでも処理が可能になりましたが、これには少しひねりがあります。各XLIFFファイルは暗号化され、プロジェクトを設定する担当者が決めるサードパーティ製のアプリケーションでのみ開くことができます(例えば、XbenchやQA DistillerのようなQAアプリケーション、または機械翻訳のアプリケーションなど)。SDL TradosやOmegaTなどの競合翻訳環境ツールでこれらのファイルを処理することが理論的には可能ですが、これらのツールメーカーはまず暗号化されたファイルを読み込むためのインターフェイスを開発しなければなりません(開発のためのAPIはAcrossが提供)。ツールメーカーが開発をしたとしても、クライアントが指定外ツールの利用を許可する可能性は低いと思われます。特に、デフォルトではその機能が無効化されていて、編集の可変レベル(機械翻訳候補だけ、コメント、および/または完全編集)を備えているからです。要約すると、XLIFFを介してのプロジェクト交換は現時点で非常に限定的で、交換というよりは、むしろAcross自体が提供していない機能追加の可能性となっています。

他の新しい機能について。 多数の小さくても、便利なアイテム(フィルタリングの向上、インラインコードの取り扱いの柔軟性、並べ替え機能の向上、区切り記号の拡張使用、IDベースのセグメントおよび JSONファイルのサポートを含む)に加えて、PDFフィルターが追加されました。基盤となるエンジンが何であるかを把握することはできませんでしたし、数回行ったテストは、まあ、特に素晴らしいとは言えませんでした。しかし、まずどのPDFフィルターも「特に素晴らしい」とは言えないかと思います。 Acrossが改行の部分で、競合製品よりも問題があったことには気づきました。

それでもPDFフィルターは、いくつかの面で興味深いものです:よりテキスト指向の処理か、よりフォーマット指向の処理かを選択でき、参照用に元のPDFを添付することができます。

今回のバージョンにおける、翻訳者に限らないその他の新機能には、用語ベースのバッチ処理の導入、そしてcrossTerm Nowの発表があります。これは、複雑になってしまう用語ベースを、辞書のようにブラウザで表示するものです。

しかし、これがフリーランスの翻訳者用の有料バージョンであるという元の話題に戻ってみます。まず第一に、これは完全に真実というわけではありません。まだ、「Basic」バージョンがあり、これは無料です。しかしそのバージョンでは、新たに導入された独自のTMと用語ベースの使用機能を利用することができず、文書をエクスポートすることもできないようになっています。つまり、次の場合には使用するのに許容できるバージョンであるということになります:a)自身のプロジェクト用に使用する予定がない場合、および、b)独自のデータを使用する意図がない、またはクライアントがその機能を無効化するということが分かっている場合。

こういったケース以外のAcrossユーザーは有料版を使用することになります。断っておきますが、実際にはソフトウェアに対する直接の支払ではありません。プレミアムバージョンのソフトウェアを利用するには、新たに用意されたマーケットプレイスである、crossMarketのプレミアム会員になる必要があります。翻訳者向けの価格ポイントは、現在1ヶ月あたり約18ユーロまたは1年分を支払う場合には9ユーロです。

今後、個人のAcrossユーザーは全員マーケットプレイスで登録する必要があります。それは、限られたフィールドから選択でき、Basic Acrossバージョンを利用できる無料での登録、またはあなた自身とあなたのサービスを売り込めるより良い可能性があり、Acrossのプレミアムバージョンを利用できるプレミアム会員においても、同様です。

Acrossが、プレミアムのサブスクリプションを無料で提供してくれたため、ポータルを少し覗くことができました。ポータルは、個人の翻訳者だけではなく、LSPそして企業クライアントに場所を提供します。他のマーケットプレイスと同様に、ここで追加の費用なしにそれぞれ連携することができる、というのがその概念です。Christianさんが特に言及したのは、かなりの企業クライアントが、個人の翻訳者と直接仕事をしようとしており、Acrossを使うのに不自由がなければ、悪くない場所であるということです。

私の知る限りでは、現在600人の翻訳者が公開プロフィールとともに登録していて、そのうち約60数人がプレミアムアカウントを持っています(公開プロフィールは選択により、非公開にすることも可能です)。しかし、ポータルが数週間前にリリースされたばかりであることを考えると、その数はすぐに拡大するであろうと思われます。

私はしばしばTool Boxジャーナルで、技術ベンダーのマーケットプレイスについて書いてきましたが、概してその成功の可能性については特に肯定的ではありませんでした。奇妙なことに、この場合、うまくいくかもしれません(「うまくいく」ということの意味はさておいて)。Acrossがこれまで大事に持ち続けてきたクローズド?ループの展望が、その理由の1つかもしれません。結局のところ、翻訳購入者として、または翻訳者を探すLSPとして、翻訳者が登録されている場所以外に行く必要はないのです。確かに、私達の多くにとって、Acrossの開放性の欠如は、もどかしいものでしたし、まだそうです。ですが結局それはビジネスにおける意思決定であり、この特定の例では、Acrossにとって有利に働くものであるということです。さらに、Acrossが自身の開放性の欠如について、オープンでなかったとはいえず、多くの企業クライアントはまさにその理由からAcrossを好んでいます。

新たに有料となったため、スタンドアロンのツールとしてAcrossの採用が広がるかどうかを確認することにも興味があります。時に、人(ここでは:私達)は、値札があること自体が理由となって、それをより使用しがちです。

今後が楽しみです。

3. 迅速な開発

前回のニュースレターで、新たな翻訳環境ツール、Liltについて、記載し、革新的ともいえる機能のいくつかについて説明しました。その中には、TMとMTの区別の欠如、MTと同じ素材を利用した用語ベースとコンコーダンス検索、自動のMT提案や各単語の入力後にインタラクティブに更新する機能、確定されたセグメントが自動的に新しいMT(および「TM」)として検討される機能、MT処理によってインラインタグが無いこと、が含まれています。(少し休息。)

前回のニュースレターと今号の間の数日間に、Liltの開発チームは既存の機能セットに追加を行うため、無我夢中で努力を続けていました。

コンコーダンス?ランキング向けに、彼らは今、「言い換え文の埋め込み」と呼ばれるものを使用しています。 この比較的新しい技術は、分配的意味論から来ており、文脈を把握するため、ベクトルの違いとしての単語間の意味関係をツールが表すようにすることができます。

よくわかりませんか。 私もです。重要なことは、これにより単語または表現の文脈をツールが評価でき、コンコーダンス検索で、良いマッチなのかどうかという可能性を予測できるようになります。他のツールとは異なり、Liltは、MT/TM/コンコーダンス/用語ベースデータモンスター(これは技術用語です!)内でメタデータを使用しません。そのため、一致の可能性を判断するその他の方法を使用することになります。

休暇中に本当にやることがなければ、この内容について書かれたこちらの論文をお読みください。(でも、ああ、散歩に出かけたり、アイススケートをしに行ったり、子供達と遊んだり、最愛の人にキスしたり、もっと食べたり、もっと寝たり…わかるでしょう。こういった事よりも、もしこれが楽しいと思うなら、休暇が相当退屈だということですね…)

また、彼らは新たなUnicode標準をテキスト?セグメンテーションに実装しました。ただ、残念なことに、まだSRX – セグメント交換標準としては表現できません。

そして最後に(ドイツ語の複合語のより良いサポート、新しいウェブサイト、自動伝播などのあちこちの変更以外に)、1つの単語だけではなく、ハイライトするだけで、句の全体をコンコーダンス検索することが可能になりました。

新しい言語に関する最新のロードマップは、ちなみに、このようになります。 既存のEN<>ES、EN>FR、およびEN>DE、そこに1月にはFR>ENとEN<>PTが加わる予定です。
良いお年を!

6. Tool Boxジャーナル終わりの一言

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先月、以下のサイトがTool Boxの名前を挙げてくれました。

http://www.tradiling.net

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